残価保証がある場合のリース取引の会計処理
リース契約には、「残価保証」の取り決めがされるケースがあります。
「残価保証」とは、リース期間終了時に、リース物件の処分価額が取り決めた保証額に満たない場合には、その不足額を借手が支払う義務を負うことをいいます。
残価保証がある場合のリース契約が「ファイナンス・リース取引」に該当するかどうかの判定方法や会計処理については、残価保証額を含めた計算が必要となります。
残価保証がある場合のファイナンス・リース取引の判定
リース取引の内、下記の二つの要件の両方を満たす取引が、ファイナンス・リース取引に該当すると判定されます。
要件名 | 要件内容 |
ノン・キャンセラブル | リース期間の中途において契約を解除することができない |
フルペイアウト | 残価保証額を含めたリース料総額の現在価値≧リース物件の合理的見積購入額×90%(現在価値基準) 又は、解約不能リース期間≧リース物件の経済的耐用年数×75%(経済的耐用年数基準) |
ここでファイナンス・リース取引に該当しないリース取引はすべてオペレーティング・リース取引となり、その会計処理方法は通常の賃貸借取引と同様に、リース料を費用処理する方法となります。
残価保証がある場合のファイナンス・リース取引の会計処理
リース契約に残価保証の取決めがある場合のファイナンス・リース取引の会計処理については、以下の表のとおりとなります。
リース資産計上時 | リース資産・リース負債計上時において、リース料総額に残価保証額を含める。 残価保証額は消費税の課税対象外 |
リース資産償却時 | リース期間を耐用年数とし、残価保証額を残存価額として減価償却費の計算をする。 |
リース契約終了時 | リース資産簿価(残価保証額)とリース負債を相殺し、貸手に対する不足額の清算金をリース資産売却損等として処理する。 不足額の清算金は消費税課税取引となる。 |
残価保証がある場合のリース取引の判定では、リース料の総額が低くなることがあるため、リース料総額に残価保証額を含めたうえでの取引判定が必要となります。
担当:橋本 拓也