令和3年度税制改正大綱(自由民主党・公明党)
自由民主党、公明党両党が令和2年12月10日に「令和3年度税制改正大綱」を発表しました。下記に税目ごとにポイントをまとめました。
1.法人税
項目 | 内容 | 適用時期 |
デジタルトランスフォーメーション(DX)投資促進税制の創設 (減税) |
「つながる」デジタル環境の構築(クラウド化等)による事業変革を行うための計画について認定を受けた場合、税額控除(5%又は3%)又は特別償却(30%)ができる措置を創設する。
※DXとは…「ITの浸透が、人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる」という概念 | 産業競争力強化法改正施行日~R5.3.31 |
カーボンニュートラルに向けた投資促進税制の創設 (減税) |
カーボンニュートラルに向け、脱炭素化効果の高い先進的な投資(化合物パワー半導体等の生産設備への投資、生産プロセスの脱炭素化を進める投資)を行うための計画について認定を受けた場合、税額控除(10%又は5%)又は特別償却(50%)ができる措置を創設する。
※カーボンニュートラル(気候中立)とは…ライフサイクル全体で見たときに、二酸化炭素(CO2)の排出量と吸収量とがプラスマイナスゼロの状態になることを指す。 | 産業競争力強化法改正施行日~R6.3.31 |
所得拡大促進税制の見直し(中小企業のケース) (減税) |
中小企業の所得拡大促進税制について下記のとおり見直す。 ① 給与等支給総額(企業全体の給与)が前年度比で1.5%以上増加した場合、増加額の15%の税額控除を適用する(法人税の20%が限度)。 ② 下記の要件を満たした場合、増加額の25%の税額控除を適用する(法人税の20%が限度)。 給与等支給増加額が前年度比2.5%以上であり、次のいずれかを満たすこと Ⅰ.教育訓練費が対前年度比10%以上増加 Ⅱ.中小企業等経営強化法に基づく経営力向上計画 の認定を受けていること ※いずれも、継続雇用者の比較要件を廃止し、給与等支給額の増加のみで判定する。 | R3.4.1~R5.3.31開始事業年度 |
2.所得税
項目 | 内容 | 適用時期 |
住宅ローン控除の特例の延長等 (減税) | 控除期間 13 年の特例の適用期限を延長し、令和4年末までの入居者を対象とするとともに、この延長した部分に限り、合計所得金額 1,000 万円以下の者について面積要件を緩和する(50 ㎡以上→40 ㎡以上)。 | R4.12.31まで |
退職所得課税の適正化 (増税) | 勤続年数5年以下の法人役員等以外の退職金についても、雇用の流動化等に配慮し、退職所得控除額を控除した残額のうち 300 万円を超える部分について2分の1課税を適用しない。 | R4.1.1以降 |
3.消費税
項目 | 内容 | 適用時期 |
金密輸に対応するための消費税の仕入税額控除制度の見直し | 金又は白金の地金の課税仕入れに係る仕入税額控除の要件として保存することとされている本人確認書類のうち、在留カード等の一定の書類をその対象から除外する。 | R3.10.1以降 |
4.相続税・贈与税
項目 | 内容 | 適用時期 |
住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置の拡充(減税) | 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税枠(1,500 万円)を令和3末まで据置く。合計所得金額 1,000 万円以下の者について面積要件を緩和する(50 ㎡以上→40 ㎡以上)。 | R3.12.31まで |
5.その他
項目 | 内容 | 適用時期 |
税務関係書類における押印義務の見直し | 税務署長等に提出する国税関係書類において、実印・印鑑証明書を求めている手続等を除き、押印義務を廃止する。 (※)地方公共団体の長に提出する地方税関係書類についても同様とする。 | R3.4.1以降 |
電子帳簿等保存制度の見直し等 |
① 帳簿書類を電子的に保存する際の承認制度を廃止する ② スキャナ保存のタイムスタンプ要件を次のとおり緩和する。 ・付与期間の変更:最長約2ヶ月以内(現行3日以内) ・訂正削除の履歴が確認できるシステムの場合、タイムスタンプ不要 ・相互牽制、定期的な検査、再発防止策の社内規定整備などの要件廃止 ・検索要件緩和:範囲項目指定ができるデータのダウンロードの求めに応じることができれば、機能の確保不要 | R4.1.1以降 |