令和2年度税制改正大綱(自由民主党・公明党)
自由民主党、公明党両党が令和元年12月12日に「令和2年度税制改正大綱」を発表しました。下記に税目ごとにポイントをまとめました。
1.法人税
項目 | 内容 | 適用時期 |
オープンイノベーションに係る措置の創設 (減税) |
設立後10年未満で上場していないなど、一定の要件を満たした国内のベンチャー企業に対し、国内の大企業が1億円以上(中小企業は1,000万円以上)を出資した場合、出資額の25%を課税対象となる所得から差し引く税制上の優遇措置を講ずる。 | R2.4.1~R4.3.31 |
企業版ふるさと納税の拡充(地方税分) (減税) |
制度を5年間延長したうえで、税額から一定の金額を控除する「税額控除」の割合を現在の3割から6割に拡大する。この特例措置とは別に、企業が自治体に寄付した場合は全額が損金に算入されるため、合計で寄付額のおよそ9割に相当する税負担が軽減される。 | R2.4.1~R7.3.31以後開始事業年度 |
交際費課税の見直し | 交際費の中小企業にかかる損金算入の特例(800万円まで全額損金算入)を2年間延長する。一方で資本金の額等が100億円超の法人について、接待飲食費の50%損金算入制度を廃止する。 | R2.4.1~R4.3.31以後開始事業年度 |
2.所得税
NISAの見直し (減税) |
比較的リスクの低い投資信託などに対象を限った、年間最大20万円の「積み立て枠」を新たに設けたうえで、従来のように株式に投資できる最大102万円の「投資枠」を作り、5年間で合わせてわせて最大610万円の投資を非課税とする。 | R6.1.1以降 |
海外中古建物の経費算入制限 (増税) |
国外中古建物から生ずる不動産所得を有する場合において不動産所得の計算上国外不動産所得の損失の金額があるときは、国外中古建物の償却費に相当する部分の金額は生じなかったものとみなし、ほかの所得との損益通算を認めないこととする。 | R3.1.1以降 |
未婚のひとり親に対する税制上の措置及び寡婦(夫)控除の見直し (減税) |
全てのひとり親家庭の子どもに対して公平な税制を実現する観点から、「婚姻歴の有無による不公平」と「男性のひとり親と女性の ひとり親の間の不公平」を同時に解消するために、次の措置を講ずる。
①未婚のひとり親が生計を一にする子(総所得金額等の合計額が48万円以下であるものに限る)を有し、かつ未婚のひとり親の合計 所得金額が500万円以下である場合に、寡婦(夫)控除を適用する(住民票で事実婚であることが明記されている場合を除く)。 ②寡婦(夫)控除の適用について、寡婦(女性)に寡夫(男性)と同じ所得制限(合計所得金額500万円以下)を設ける。 ③寡婦(夫)の要件について、住民票で事実婚であることが明記されている場合を除く。 ④子ありの寡夫(男性)の控除額(改正前所得税27万円、住民税26万円)について、子ありの寡婦(女性)と同額(所得税35万円、 住民税30万円)とする。 |
R2.1.1以降 |
低未利用地の活用促進
(減税) |
保有期間5年超、土地建物合計で500万円以下等の要件を満たす低未利用地の譲渡にかかる所得に対して100万円の特別控除を適用する。 | R2.7.1~R4.12.31 |
3.消費税
申告期限の延長 | 法人税の申告期限を延長することができる企業について、消費税の申告期限を1か月に限って延長することが出来る。 | R3.3.31以降 終了事業年度 |
居住用賃貸建物の仕入税額控除の制限 (増税) |
① 居住用賃貸建物の課税仕入れについては、仕入税額控除の適用を認めない。
② 仕入れの属する課税期間の初日以後3年を経過する日の属する末日までの間に住宅以外で貸付けた場合又は譲渡した場合には、仕入れ税額控除を加算して調整する。 |
R2.4.1以降 |
4.その他
所有者不明土地に対する課税の整備 | 所有者不明土地に係る固定資産税の課税を下記の通り整備する
① 現に所有している者の申告の制度化 |
R2.4.1以降 |