平成31年度税制改正大綱(自由民主党・公明党)
自由民主党、公明党両党が平成30年12月14日に「平成31年度税制改正大綱」を発表しました。下記に税目ごとにポイントをまとめました(2019年5月1日から元号が変わりますが平成で表記しています)。
1.法人税
項目 | 内容 | 適用時期 | ||||||||
研究開発税制の拡充
(減税) |
総額型について、増加インセンティブの強化の観点から控除率を見直すとともに、研究開発を行う一定のベンチャー企業の控除上限を法人税額の40%(現行:25%)に引き上げる。 | H31.4.1以後開始事業年度 | ||||||||
法人税の軽減税率の特例の延長 | 中小企業者等の法人税の軽減税率の特例を2年間延長する。
※法人税住民税事業税計の実効税率(所得800万円まで)→ 特例 23.2%(本則は29.74%) |
H31.4.1~H33.3.31以後開始事業年度 | ||||||||
設備投資にかかる特別償却・税額控除制度の延長 | 中小企業経営強化税制など中小企業が設備投資をした場合の特別償却・税額控除制度を2年間延長する。
※中小企業経営強化税制→以下の設備を購入して①工業会等の証明②経済産業局による確認書のいずれかにより、即時(100%)償却または10%(資本金3,000万円超は7%)を受けられる制度
|
H33.3.31まで | ||||||||
仮想通貨の評価方法の制定 | 法人税における仮想通貨の評価方法等について、時価法を導入する等の措置が講ずる。 | H31.4.1以後終了事業年度から |
2.所得税
住宅ローン控除の拡充(減税) | 消費税率 10%が適用される住宅取得等について、控除期間を3年延長する(現行10年⇒13年)。 適用年の11年目から13年目までの各年の控除額については、以下のいずれか少ない金額とする(例:一般住宅の場合)。
・住宅借入金等の年末残高(注)×1% ・(住宅の取得等の対価の額又は費用の額-当該住宅の取得等の対価の額又は費用の額に含まれる消費税額等)(注)×2%÷3 (注)4,000万円を限度 |
H31.10.1~32.12.31 |
森林環境税及び森林環境譲与税の創設(増税) | 森林整備等に必要な地方財源を安定的に確保する観点から、森林環境税(仮称)(平成 36 年度から年額 1,000 円)及び森林環境譲与税(仮称)(平成 31 年度から譲与)を創設する。 | 森林環境譲与税H31.1.1~
森林環境税H36.1.1~ |
ふるさと納税制度の見直し | 過度な返礼品を送付し、制度の趣旨を歪めているような団体については、ふるさと納税(特例控除)の対象外にすることができるよう制度の見直しを行う。 | H31.6.1以後 |
3.相続税・贈与税
個人事業者の事業承継税制の創設等(減税) | (1)新たな個人事業者の事業承継税制を、10年間の時限措置として創設する(現行の事業用小規模宅地特例との選択適用)。
・事業用の土地、建物、機械等について、適用対象部分の課税価格の100%に対応する相続税・贈与税額を納税猶予する(担保の提供を条件とする)。 ・法人の事業承継税制に準じた事業継続要件の設定等により制度の適正性を確保する。 (2)現行の事業用小規模宅地特例について、相続前3年以内に事業の用に供された宅地を原則として除外する適正化を行う。 |
納税猶予H31.1.1~
H40.12.31
小規模宅地等の評価減H31.4.1以後 |
民法改正に伴う措置 | 平成30年7月に公布された民法等の改正に伴い、以下税制上所要の改正を行う。
・相続税の未成年者控除適用対象者の年齢を、現行20歳未満から18歳未満に引き下げる。 ・相続時精算課税制度等の受贈者の年齢要件を18歳以上に引き上げる(現行20歳以上)。 ・配偶者居住権の評価額を以下の通りとする。 建物の時価-建物の時価×(残存耐用年数-存続年数)/残存耐用年数×存続年数に応じた民法の法定利率による複利現価率 ・特別寄与料の額が確定した場合には、特別寄与者は特別寄与料相当額を被相続人から遺贈により取得したものとみなして相続税が課税される。 |
H34.4.1以後 |