中小企業経営強化税制
今回は『平成29年度税制改正大網』より、『中小企業経営強化税制』についてご紹介いたします。
制度の概要
当制度は3月末で期限切れとなる中小企業投資促進税制の上乗せ措置を拡充し、新設された制度となります。現行の制度と比較して対象設備、指定事業の範囲が拡大されます。
『経営力向上計画』(下記)の認定を受けたものが対象となる設備を平成29年4月1日から平成31年3月31日までの間に取得した場合に即時償却または税額控除を選択できる制度となっています
大企業 | 中小企業者等 | |
特別償却 | 即時償却 | 即時償却 |
税額控除 | 7%の税額控除 (法人税額の20%まで)※ |
10%の税額控除 (法人税額の20%まで)※ |
※税額控除の上限を超えた分については1年間繰り越すことができます。
対象設備・指定事業の要件
対象設備は、下表の種類の設備及びソフトウエアで生産性向上設備(A類型)または収益力強化設備(B類型)に該当するもののうち一定規模以上のものとなります。
◆対象となる設備の要件
経営力向上設備等(中小企業等経営強化法に規定する次の設備) | 一定規模(1台または1基の取得価額) | |||
生産性向上設備(A類型) | 収益力強化設備(B類型) | |||
販売開始 | 経営力向上 | |||
機械装置 | 10年以内 | 旧モデル比で経営力の向上に資するものの指標(生産効率、エネルギー効率等)が年平均1%以上向上※2 | 年平均5%以上の投資利益率が見込まれると経産大臣の確認を受けた投資計画に記載されたもの | 160万円以上 |
工具(①は測定工具・検査工具のみ) | 5年以内 | 30万円以上 | ||
器具備品 | 6年以内 | 30万円以上 | ||
建物附属設備 | 14年以内 | 60万円以上 | ||
ソフトウエア※1 | 5年以内 | なし※2 | 70万円以上 |
※1 A類型は設備の稼働状況等に係る情報収集機能及び分析・指示機能を有するものに限る
※2 ソフトウエア及び旧モデルがないものは、経営力向上要件不要
◆指定事業の要件
指定事業については現行の中小企業投資促進税制、商業等活性化税制の指定事業のいずれかに該当していれば対象となります。(一部事業を除き該当するため割愛)
経営力向上計画
下記流れで『経営力向上計画』の認定を受け、設備を取得する必要があります。
・生産性向上設備(A類型)の場合
①工業会等の証明書を入手(メーカー等から取得)
②『経営力向上計画』の申請・認定
③設備の取得・事業供用
・収益力強化設備(B類型)の場合
①税理士等による投資計画の事前確認
②経済産業局による投資計画の確認を受ける
③『経営力向上計画』の申請・認定
④設備の取得・事業供用
A類型・B類型ともに申請し認定を受けてから設備の取得をするという流れとなりますので一定の時間を要することにご留意ください。特にB類型は投資計画を作成し経済産業局の確認を受けた上で申請を行う必要がある為、より計画的に設備投資をする必要があります。
設備投資の予定がある方は当制度の活用をご検討いただければと思います。
担当:田村 大介