法人税率の引下げ
平成27年12月16日に「平成28年度税制改正大綱」が発表されましたが、今回はその中の法人税率の引下げについてご紹介させて頂きます。
概要
既に1月のトピックスでもお伝えしている通り、現行23.9%の法人税率が平成28年4月1日以降開始する各事業年度において23.4%に引き下げられることとなりました。
国税である法人税率引下げに伴い、法人税率を基に計算される法人住民税(地方税)も引き下げられることとなります。その他、法人事業税等(地方税)の税率も引き下げられます。その結果、資本金1億円超の大法人に関しては地方税を含めた実効税率が平成28年度は29.97%、平成30年度は29.74%となります。
なお、中小法人に関しては現行800万円以下の所得に関して『中小企業者等の法人税率の特例』により軽減税率が適用され法人税率が15%となっておりますが、その適用期限は平成29年3月までに開始した事業年度までに延長されております。その為、中小法人の地方税を含めた実効税率は平成28年度については400万円以下の所得に対しては21.42%、400万円を超え800円万以下の所得に対しては23.2%となります。800万円超の所得の部分に関しては上記の大法人と同等の税率が適用されますので29.97%となります。平成29年4月以降に開始した事業年度については、上記特例が適用されなくなった場合法人税率が19%となり、400万円以下の所得に対しては25.9%、400万円を超え800円万以下の所得に対しては27.58%、800万円超は29.97%となります。
その他実務上の注意点としましては、実効税率の引き下げに伴い、改正前の実効税率で計上済みの繰延税金資産及び繰延税金負債がある場合、改正後の税率との差額分を取り崩す必要が出てきますのでご注意いただければと思います。
現行 | 平成28年度 | 平成30年度 | |
---|---|---|---|
国の法人税率 | 23.9% | 23.4% | 23.2% |
(参考)大法人向け法人事業税所得割 ※28年度までは、地方法人特別税を含む ※年800万円超所得分の標準税率 |
6.0% | 3.6% | 3.6% |
(参考)国・地方の法人実効税率 〈標準税率ベース※〉 |
32.11% | 29.97% (▲2.14%) |
29.74% (▲2.37%) |
※東京都ベースであれば、現行の法人実効税率は33.06%
●経済産業省「平成28年度経済産業関係税制改正について」参照
適用時期
法人税率の引下げが適用されるのは平成28年4月1日以降に開始する各事業年度からとなります。
担当:田村 大介