建物付属設備・構築物の減価償却方法の見直し
今月は平成28年度税制改正より、「建物付属設備・構築物の減価償却方法の見直し」についてご紹介させていただきます。
概要
平成28年3月までは、建物は「定額法」のみ、他は「定額法」と「定率法」の選択制となっていた減価償却方法が見直され、平成28年4月1日以後に取得する資産のうち、建物と一体的に整備される「建物附属設備」や、建物同様に長期安定的に使用される「構築物」について、償却方法が「定額法」に一本化されることとなりました。
資産の区分 | 平成28年3月末までに取得 | 平成28年4月1日以後に取得 |
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建物付属設備(昇降機設備や電気・ガス設備等、建物と一体となる付属設備) | 「定額法」または「定率法」 | 「定額法」 |
構築物(舗装道路、貯水池など土地の上に定着した建造物、土木設備、工作物) | 「定額法」または「定率法」 | 「定額法」 |
※ 「鉱業用減価償却資産」のうち、「建物」「建物附属設備」「構築物」に該当するものは、「定額法」または「生産高比例法」の選択制とされます。
上記図のように、定率法だと、減価償却費を早い時期に多く計上できていたものが、定額法になり、毎年一定額を計上することとなりますので、計算が簡単になり把握しやすくなった半面、短期的には増税となっております。
また、既存の建物付属設備等への「資本的支出」(固定資産の改良・修繕費のうち使用可能期間を延長させ、又は価値を増加させるもの)についても、定額法での減価償却費の計算が原則となりますが、以下の2点が「資本的支出の特例」として、規定されています。
既存資産の償却方法 | 内容 | |
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特例① | 旧定額法・旧定率法 | 既存資産の取得価額に資本的支出の額を「加算」して償却 →旧定額法・定率法で償却可 |
特例② | 定率法(250%定率法・200%定率法) | 定率法を適用した資本的支出(平成28年3月以前に取得)を平成28年4月1日以後に既存資産と合算して新規資産として償却 →定率法で償却可 |
担当:橋本 拓也